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高分子事業
2008/12/17
スクリーン印刷可能な熱伝導性塗料の開発について
ユニチカは、高い熱拡散特性とスクリーン印刷特性を併せ持つ全く新しい熱伝導性塗料の開発に成功しました。熱伝導性塗料をプリント基板に印刷することで、自動車の電装品やPC、サーバー、PC周辺機器、家庭用ゲーム機、携帯電話、ポータブルAV機器などの電子機器の放熱対策など幅広い展開が可能です。
1.開発の背景
LSIの高密度化、CPUの高速化に伴い電子機器、特に大電力を扱うパワーデバイス内部の発熱密度は高くなっています。一方、これらを内蔵する電子機器のサイズは年々小型化しており、熱を逃がす空間や面積が減っています。機器内の温度が高くなると誤作動や寿命低下などを引き起こす原因になるため、熱設計は重要な技術課題となっています。
放熱対策としては、発熱体の近くにヒートシンクや冷却ファンを設けて機器内の空間に放熱させたり、熱伝導シートで発熱体と筐体を結んで熱を外部に逃がすといった熱設計方法が採用されています。また、発熱体表面やヒートシンクに塗装して空気中への放熱を促進する塗料や、発熱体とヒートシンクとの接着性を高めることで放熱効果を謳った塗料が市販されています。
このたび、ユニチカは「プリント基板中に熱伝導層を構築することで発熱体の熱を筐体に逃がす」といった方法が重要な熱設計方法になるという考えのもと、プリント基板の必要な部分だけに熱伝導層を印刷することをコンセプトとした熱伝導性塗料を開発しました。
2.技術内容
(1)熱伝導性塗料としての特長
今回開発した熱伝導性塗料は、特定の熱伝導性フィラーと熱硬化型バインダー樹脂を主体とする水性塗料であり、ユニチカ独自の分散技術と相俟って下記の特長を有しています。
○スクリーン印刷性
カーボン系フィラーの種類、サイズや配合率、ならびに塗料粘度を最適化することで、スクリーン印刷法による厚みのある塗工が可能です。このため、熱伝導性が必要とされる部分だけに塗料を印刷することができます。塗料には導電性がありますが、導電性があっては困る箇所を避けて印刷することができます。結果として廃棄物の発生を抑え、コスト削減にも繋がります。
○環境保全性
溶媒は水を用いているため有機溶媒フリーであり、作業環境に対する安全性も高く、安心して使用できる塗料です。
(2)適用例(プリント基板)
開発した熱伝導性塗料をスクリーン印刷して乾燥し、銅箔や絶縁層と積層プレスすることによって作製されたプリント基板は優れた熱拡散促成を有することができます。
例えば、1kΩの抵抗を実装したプリント基板に30V印加し、10分間安定化させてから実装部品の温度を比較すると、熱伝導性塗料を塗工していないプリント基板では150℃付近まで上昇します。一方、積層プレス後の熱伝導性塗膜の厚みが70μm以上になるように塗工したプリント基板では100℃以下に抑えることができます。
3.用途
熱伝導性塗料を印刷したプリント基板は自動車の電装品やPC、サーバー、PC周辺機器、家庭用ゲーム機、携帯電話、ポータブルAV機器などの電子機器の放熱対策など幅広い用途への展開が期待されます。
4.販売構想
2009年1月よりマーケティングを開始します。なお、初年度の販売数量は熱伝導性塗料として30トンを計画しています。
<熱伝導性塗料に関するお客様からの問い合わせ先>
ユニチカ株式会社 中央研究所 カーボン成型体グループ
TEL.0774-25-2228 FAX.0774-25-2272
<熱伝導性塗料に関する報道関係からの問い合わせ先>
ユニチカ株式会社 IR 広報グループ
大阪:06-6281-5695 東京:03-3246-7536
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